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ベース内蔵プリアンプの製作 4 [趣味]

長いことブログ更新が滞ってしまいました。スミマセン。

えーっと、まずはローパスフィルター(LPF)についてでしたね。
ローパスフィルターとは文字通り、ある一定の周波数より低い信号は通過させ、高い信号は
遮断させる働きを持つフィルターです。

今どきのギターやベースなどの電気楽器が拾うノイズはハムばかりではありません。
身の周りでは携帯電話やパソコンなど、最近のデジタル機器から高い周波数成分のノイズが
放射されています。当然ベースもこれらのノイズを拾います。

プリアンプでローパスフィルターを搭載する目的は、ベースの音として必要な周波数帯の信号だけを通し、それ以外の不要な帯域の信号を通さない様にすることで、性能の安定化を目指すものです。

さて、実際にローパスフィルターの必要性はあるのかですが、市販のアクティブ回路搭載のベースのうち、主要メーカーの普及~中級クラスなどでは簡易なパッシブフィルターを搭載したものが多いです。
無名メーカーですと、そんなもん一切なしというのも見かけます。


そこで早速、プリアンプにローパスフィルターを追加してその特性を見ることにしました。
どうせなので、市販品に搭載例が多い簡易な1次ローパスフィルターと、より優れた2次ローパスフィルター(バターワース特性)の2種類のフィルター回路を比較してみました。

1次ローパスフィルター
1次LPF.png

2次ローパスフィルター(バターワース)
2次LPF.png


上の2つを比較すると、20kHz以上での減衰のしかたに差が出ました。2次ローパスフィルターの方が明らかにいいですね。
折角の自作プリアンプですので、フィルター回路の部品点数が2倍(抵抗2個、コンデンサ2個)になりますが、特性の優れた2次ローパスフィルターでいきましょう。

ベース内蔵プリアンプの製作 3 [趣味]

前回に出来上がったプリント基板に部品を半田付けし、サクッと組み上げました。基板サイズは4.5cm x 5.5cmです。

1. 基板外観
Img_0271.jpg

TUNE TBの純正プリアンプ基板TB-05Bは、ピックアップの結線と電池&出力ジャックの結線を、EIコネクタを介して接続するようになっていますので、自作プリアンプもそのコネクタがそのまま挿せる様に、EIコネクタ仕様にしました。ただしポットはパーツショップで市販されている汎用品を使う関係でTB-05Bのような基板直付け仕様ではありません。

OPアンプはLF442CNを挿しました。このLF442CNはオーディオ向けの製品ではないのでHiFiスペックではありませんが、消費電流が非常に少ないのがウリです。
真ん中に見える半固定のトリマーはゲイン調整用です。とりあえず -4dB~+13dB の範囲で調整が出来るように設定しています。

2. 計測
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DSO Quadのサードパーティ製アプリにて周波数特性を計測している様子を撮っています。
そして測定結果は↓

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LF442CNは帯域が広くないので100kHz手前から勝手に落ちていきますが、楽器やオーディオ機器の帯域としては問題ありません。むしろ、デジタル機器からのノイズの影響を受けにくくなって好都合です。


3. 換装
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ベース本体にに搭載し、さっそく弾いてみました。
出音の感想。
ホワイトノイズのレベルは純正よりも良好。ただし音的には魅力はありません。なんていうか、ただ普通に音が鳴っているという感じです。やっぱりOPアンプにオールLF442CNってのがダメなんだろーなw
ノイズレベルは純正よりも良好なのですが、できればもう少し抑えたいのと、よりPCなどからのデジタルノイズに強くしたいです。OPアンプもオーディオ向けのものをいくつかチョイスするしかないなー。

次は入力の初段ボルテージフォロワに20kHz以上をカットするフィルターの追加、そしてホワイトノイズの原因となる熱雑音を低減させる改良に入ります。

ベース内蔵プリアンプの製作 2 [趣味]

さて、今回はプリント基板を作成した模様をご紹介します。

自作エフェクターなんかですと、ユニバーサル基板やスプリット基板を土台にして、パソコンのPCBレイアウト専用ソフトでお手軽に部品の実装と配線パターンのレイアウトを作り上げる方法が普及していますよね。
ただし自分で回路を設計して作り上げる場合では、プロトタイプを作成してから動作の検証や性能評価を行い、その結果を回路の修正や変更にフィードバックするという作業が何回か繰り返されます。一発で期待した性能が完璧に出るという訳にはいきませんからね。
また、回路と定数が固まった後にも、本番で使うプリント基板上のコネクタ等が他の部品に干渉しないかどうか、もう少しプリント基板を小型にできないか等のチェックと微調整も行います。
そこで私の場合はEAGLE PCBというソフトを使用して回路の設計とプリント基板のレイアウトを行います。ソルダーレジストも施すので、この様な専用ツールのソフトウェアが便利です。


1. EAGLE PCBで作業中
Eagle画面.jpg


このEAGLE PCBでデザインしたプリント配線パターンをプリンターで第二原図用紙やOHPフィルムに印刷し、感光基板に焼き付ければ簡単にオリジナルのプリント基板を作ることができます。

今回の私の場合なんですが、以前にまっさらな生基板を安く購入した時の在庫とシルクスクリーン印刷の道具があるので、プリント配線パターンをスクリーンに製版してからアクリルガッシュをインクとして生基板に直接スクリーン印刷。そしてエッチングを行ってます。


2. プリント配線パターンが印刷された生基板
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3. エッチング液の準備
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4. エッチング液に基板をドボン
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5. 銅箔が溶けていきます
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6. あともう少し・・・
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7. 全部溶け切りました
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8. エッチング完了(水洗後)
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このあと、除光液でアクリルガッシュのインクを除去し、別途ソルダーレジストマスクパターンを製版したスクリーンと紫外線硬化型の緑色をしたサンハヤトのソルダーレジスト用インクSR-222を使用してスクリーン印刷。そしてドライヤーで十分に加熱した上でよく紫外線を照射して硬化させます。

9. ソルダーレジストまで仕上げた基板
Img_0261.jpg


ソルダーレジストが硬化したら、ドリルによる穴あけ、規定の基板サイズへの裁断、そして最後にフラックスの塗布を行って完成です。なお、部品面のシルク印刷は面倒なのでしていません。(部品を付けるのも自分だしw)

10. 仕上がったオリジナルプリント基板
Img_0266.jpg


さて、この後は出来立てホヤホヤのプリント基板に部品を半田付けして組み上げます。次回は組み上がった基板の机上動作確認、そして実際にTUNEのベースTBに組み込む模様を報告したいと思います。

ベース内蔵プリアンプの製作 1 [趣味]

とりあえず試作。(基板レイアウト作成のEAGLEというソフトウェアの画面です)
Eagle画面.jpg

フロントとリア、2つPUからの入力は、それぞれOPアンプのボルテージフォロワを通してからBALANCEで混合。
そしてゲイン調整を兼ねた反転増幅回路を経て、NF型のトーンコントロール回路に入ります。
このNF型トーンコントロール回路は、BASSとTREBLEがフラットの時にゲインが-1の反転型なので、PU入力からのトータルでは反転しない出力になります。

それではDSO Quadで周波数特性を計測してみます。

1. BASS=フラット、TREBLE=フラット
Freq000.png


2. BASS=最小、TREBLE=フラット
Freq003.png


3. BASS=最大、TREBLE=フラット
Freq004.png


4. BASS=フラット、TREBLE=最小
Freq001.png


5. BASS=フラット、TREBLE=最大
Freq002.png


6. BASSとTREBLEの両方をブースト
Freq007.png


7. BASSとTREBLEの両方をカット
Freq008.png


まずまずでしょうか。
一応、使えそうなプリアンプ回路の雛形が出来ましたので、続いて専用のプリント基板を作成していきます。

TUNEのベースの内蔵プリアンプ [趣味]

1980年代に一世を風靡したTUNEのベースTBシリーズ。
近年にヤフオクなどで中古モデルをいくつか手に入れたのだが、どうも内蔵プリアンプからの音が残念なのだ。
この内蔵プリアンプはTUNE純正のTB-05Bという型式で、電池の持ちは良いのだがトーンの効きがちょっと変なのと
無音時のノイズの多さが目立つのが残念なところ。

01_取り外したアクティブコントロール基板(オモテ).jpg02_取り外したアクティブコントロール基板.jpg

案外に部品が多く載った基板ですね。OPアンプは2回路のLF442を3個使用しています。それにしても抵抗器とコンデンサの数が半端ないです。2 Band EQにしては複雑な回路です。きっと何か凝ったことでもやっているのかもしれません。
ただしノイズ的にはマイナス要素だと思うのですが・・・。ちなみに抵抗器はすべて炭素皮膜抵抗器です。

色々なモデルに搭載されてきた内蔵プリアンプTB-05Bですが、スペックは BASS +16dB/-6dB @90Hz、TREBLE +18dB/-6dB @5.5kHz だそうです。

そこで最近になってポケット型のオシロスコープ、DSO Quadなるものを手に入れたので、色々と調べてみることにした。
その前に、まずこのDSO Quad、標準のオシロスコープの他にサードパーティーアプリによって最大で3つまで機能を追加できるスグレモノなのだ。
しかも周波数特性を測定できるサードパーティアプリを作成した外国人さんがいらっしゃるので、早速ダウンロードしてインストールしちゃいました。

では早速ですが、とりあえず測定してみました。-20dB基準


1. トーン(BASS/TREBLE)フラット
FREQ008.png

グラフの見方ですが、縦軸が音声信号のレベル、そして横軸が周波数を表しています。そしてライムグリーンの曲線が出力レベル、そしてイエローの曲線が入力に対する出力の位相変位を表しています。

下の方(低域)はとても良く伸びています。10Hzまでほぼフラット。一方、上の方(高域)はやや詰まり気味ですかね。10kHzよりも手前から下がり始めています。意図的に20kHzのカットオフが施されているような特性です。

さて、ちなみに位相特性の曲線ですが・・・。
これはどう見ても極性が上下で反転していますねw 音には影響がないとは言え、見てしまうと気になって仕方がありませんなー。


2. BASS=最小、TREBLE=フラット
FREQ009.png

BASSを最小に絞ってみました。
2kHzくらいから徐々に下がり始め、40Hzくらいでほぼ下がり切っています。カット量は最大で-6dBほどでしょうか。
うーん、2kHzから下がり始めるのはどうなんでしょう、ベースという楽器にしては高いような気もいたします。
そしてカット量も最大で-6dBはやや控えめに感じます。


3. BASS=最大、TREBLE=フラット
FREQ010.png

BASSを最大に上げてみました。
1kHzくらいから徐々に上がり始め、20Hzあたりでほぼ上がり切っています。ブースト量は最大で+13dBほどのようです。
カットとブーストの特性は上下対称ではありませんね。部品が多いのはこのせい?


4. BASS=フラット、TREBLE=最小
FREQ011.png

TREBLEを最小に絞ってみました。
100Hz手前から徐々に下がり始め、1kHzあたりで下がり切っています。カット量は最大で-5dBでしょうか。
よく見ると、100Hz手前までの低域も全体的に-1~2dBほど下がっています。影響していますね。
でも100Hz手前から効くのってTREBLEとしては低すぎませんか?


5. BASS=フラット、TREBLE=最大
FREQ012.png

TREBLEを最大に上げてみました。
100Hz手前から徐々に上がり始め、3kHzあたりで上がり切り、再び徐々に下がっています。ブースト量は最大で+14dBでしょうか。
TREBLEのブースト・カットも上下対称ではないですね。


6. BASS=最小、TREBLE=最小
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BASSとTREBLEの両方を最小に絞ってみました。
MIDが山なりに凸になると思いきや・・・予想に反してほぼ完全にフラットになってしましました。これは全体的な音量が下がるだけでトーンとしては無意味ですなw


7. BASS=最大、TREBLE=最大
FREQ014.png

BASSとTREBLEの両方を最大に上げてみました。
MIDが凹むかそれとも前例に倣ってフラットか?!
若干MIDが凹みましたがフラットに近い具合ですね。ドンシャリ狙いにBASS/TREBLE両方のフルテンは思ったほど使えませんなー。



今回はDSO Quadによって、TB-05Bのスペックから簡単には読み取れない特性が見られました。特にBASSとTREBLEとで変化する周波数の領域が大きくオーバーラップする上に、ブースト・カットで上下非対称という点です。とにかく癖の強いプリアンプでした。
実はTB-05Bから載せ換えるオリジナルの内蔵プリアンプを製作中です。素直なトーン変化特性の実現と、できるだけ部品点数を減らしてノイズを改善することが目的です。既に回路設計は済んでいて、試作と評価が進行中です。
その模様と続きについてはまた次の更新で・・・。

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